トヨタ パッソ – 今や数少ない『安価でコンパクトなベーシック・リッターカー』

1990年代までは各社から発売されていた『リッターカー』。登録車の中では自動車税がもっとも安い排気量1リッター以下、ヘタな軽自動車より安くて黄色ナンバーではないのが魅力でしたが、軽自動車ブームにより今や数少なくなりました。その中でもベーシックモデルとして現在代表的なのが、トヨタのパッソです。

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各代の概要と時代背景

総合概要:トヨタ久々のリッターカー、デュエットの後を継いだベーシックモデル

トヨタは1960年代に開発したパブリカ、その後継となるスターレットの初期までは700~1,000ccクラスのエンジンを搭載していましたが、1970年代に厳しい排ガス規制で既存のエンジンではパワー不足に陥ると1リッターエンジンに見切りをつけます。

それ以降は1.3リッターのNA(自然吸気)/ターボエンジンを搭載したスターレットがトヨタのエントリーモデルとなっていました。

一方、1967年からトヨタ傘下となっていたダイハツではリッターカーの可能性に着目し、1リッター3気筒エンジンを搭載した小型軽量FF車の初代シャレード(1978年)をヒットさせます。

以降、シャレードが代を重ねるごとに大型化してリッターカーの枠を外れるものの、1997年に発売したストーリアで1リッターエンジン搭載ベーシックカーに回帰、トヨタにもデュエットとしてOEM供給され、久々にトヨタのリッターカーが復活しました。

その後継として2004年に登場したのがパッソで、初代と2代目は1~1.5リッタークラスで自車開発(ただし1リッターエンジンはダイハツ)のヴィッツより一回り下のエントリーモデルとして、トヨタの企画・オーダーによりダイハツが開発します。

トヨタ・ダイハツの共同開発という形でダイハツ ブーンとトヨタ パッソは生産工場こそ同じなものの、型式は別に取得(トヨタ車をダイハツが下請け生産する形)するなどトヨタの意向が強く反映されたモデル。

しかし、2010年代半ばになるとトヨタはグループ各社がそれぞれ得意とする分野は自主開発を重んじるようになり、3代目パッソは純粋にダイハツの企画・開発となり、トヨタへは3代目ブーンがパッソとしてOEM供給される形に戻っています。

少々遠回りしましたがトヨタのたどりついた結論は『餅は餅屋』で、3代目パッソはダイハツの企画開発らしい1リッターエンジンで最適化されたベーシックなエントリーモデルとなったのです。

ショート&ワイドなベーシックカー 初代C10系(2004-2010)

2004年6月に発売された初代は先代にあたるデュエット同様、ダイハツ軽自動車のプラットフォームを使って小型車化したもので、デュエットより全長は短くなったもののエンジンスペースのミニマム化や全幅拡大で、車内スペースはヴィッツより広くなりました。

コラムシフトや足踏みパーキングブレーキの採用で車内は広く、セパレートシート車では運転席・助手席間にバッグを置けるようにして女性に配慮したほか、ベンチシート車も設定。

1リッターエンジン搭載グレードがメインですが、デュエットに続きFF車のみ1.3リッターエンジン搭載グレードも設定されています。

1クラス上のヴィッツが業務用向けなど廉価モデルに1リッターエンジンを残すものの、1.3~1.5リッターエンジンがメインで全幅も5ナンバー枠いっぱいに拡大するなど大型化したことで、パッソが明確にトヨタ車のボトムレンジを担うエントリーモデルとなり、デュエット同様にヒット作となりました。

代表スペックと中古車相場

トヨタ QNC10 パッソ 1.0X Fパッケージ 2004年式
全長×全幅×全高(mm):3,595×1,665×1,535
ホイールベース(mm):2,440
車重(kg):900
エンジン:1KR-FE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:996cc
最高出力:52kw(71馬力) / 6,000rpm
最大トルク:94N・m(9.6kgm) / 3,600rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:4AT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場:1.0万~78万円

女性向けを強烈に意識した『NEWプチトヨタ』 2代目C30系(2010-2016)

2010年2月にフルモデルチェンジした2代目は、女性スタッフを中心として企画され、女性目線で開発に取り組んだモデルなのを大々的にアピールされていました。

『+Hana(プラスハナ)』といったグレード名や『Kiriri(キリリ)』など特別仕様車名、『ウグイスメタリック』、『ユキ』、『キナリ』など内外装色のカラー名も女性向けの独特なものとなっています。

特別仕様車も内装各部にオシャレな専用色で加飾されたり、スーパーUVカットガラスを装備するなど明確に女性を意識した充実が図られていたのが特徴です。

パッチリとした大きな目のようなヘッドランプやテールランプといったデザインからも女性向けに特化したのは明らかで、先代に存在したエアロ仕様のスポーツグレードやTRDチューンモデルは廃止されています。

なお、1リッターエンジン搭載車がメインで、FF車のみ1.3リッターエンジン搭載車もラインナップされているのは先代と同じです。

代表スペックと中古車相場

トヨタ KGC30 パッソ 1.0プラスハナ 2010年式
全長×全幅×全高(mm):3,650×1,665×1,535
ホイールベース(mm):2,440
車重(kg):910
エンジン:1KR-FE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:996cc
最高出力:51kw(69馬力) / 6,000rpm
最大トルク:92N・m(9.4kgm) / 3,600rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場:44.9万~148万円

ダイハツの企画・開発でリッターカーとしての原点回帰 3代目M700A系(2016-)

トヨタの戦略変更でコンパクトカーを得意とするダイハツが企画から開発・生産まで一貫して担当するようになった3代目は2016年4月にモデルチェンジされて発売。

1.3リッターエンジンは廃止されて1リッターエンジンとCVTの組み合わせとなった一方、男女性別に関わらず受け入れられるデザインとなった、スポーティな『MODA(モーダ)』グレードも設定されて、従来より広いユーザー向けとなりました。

車高もやや下げられ、デザイン上も台形デザインのフロントマスクなどボディ下部にボリューム感を持たせたロー&ワイド風となって、先代より力強い印象を持たせています。

エンジンは高効率化が図られたほか、アイドリングストップが全車装備となったことで特に4WD車で大幅に燃費が向上、ホイールベース延長で前後席間隔を拡大して車内スペースにゆとりを持たせた上で、フロントタイヤ切れ角の最適化で最小回転半径の悪化を最小限に抑え、4.6mを確保しています。

さらにダイハツの安全運転支援パッケージ『スマートアシストII』を上級グレードで標準装備化したことにより、トヨタの登録車でもっとも小さく安価なエントリーモデルながら、高い安全性を得ました。

代表スペックと中古車相場

トヨタ M700A パッソ モーダ 2018年式
全長×全幅×全高(mm):3,660×1,665×1,525
ホイールベース(mm):2,490
車重(kg):910
エンジン:1KR-FE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:996cc
最高出力:51kw(69馬力) / 6,000rpm
最大トルク:92N・m(9.4kgm) / 4,400rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場:44.9万~179万円

各代の新装備

初代C10系

初代は1リッターエンジンが新開発となり、ダイハツが軽自動車に採用している660ccエンジンKF-VEの1リッター版『1KR-VE』を採用。

新世代の高効率エンジンをベースとしているため低燃費・低排出ガスで、先代にあたるデュエットが搭載していたEJ-VEの64馬力から10%ほど出力向上し、国産1リッターNAエンジンとしては史上最強の71馬力の最高出力を誇ります。

装備面ではチルト機構つきステアリングやオートレベリング機能つきディスチャージヘッドランプ、運転席&助手席SRSサイドエアバッグおよび前後席SRSカーテンシールドエアバッグ、サイドターンランプ付き電動格納ドアミラーなどを標準またはオプションで装備。

2006年12月のマイナーチェンジでは『Fパッケージ』グレードにセンターアームレストつきフロントベンチシートを採用、2009年4月発売の特別仕様車『Xイロドリ』にも装備されました。

2代目C30系

2代目では1.3リッターエンジンを新型の1NR-FEに変更、ミッションは4速ATからCVTへと更新し、エンジンやVSC(横滑り防止装置)、TRC(トラクションコントロール)との統合制御でより効率化を図ります。

フロントベンチシート専用車種として『+Hana(プラスハナ)』が設定された他、新装備としては助手席リバース連動ドアミラー、バックモニターを標準またはオプション装備。

2012年6月にはアイドリングストップをオプション設定し、2014年4月のマイナーチェンジで一部グレードを除き標準装備化しました。

その他、マルチリフレクターディスチャージヘッドランプや、オート電動格納式リモコンドアミラー、花粉除去モード付オートエアコンなども標準またはオプション装備に加わっています。

3代目M700A系

3代目の新装備は『MODA(モーダ)』グレードのタコメーターやBi-Beam LEDヘッドランプ(LEDロー&ハイビームとリング状に点灯するクリアランスランプで構成)、そしてFF車のみだったアイドリングストップを4WD車にも拡大装備。

衝突被害軽減ブレーキ(対車両)、誤発進抑制、衝突警報(対車両・対歩行者)、車線逸脱警報、先行車発進お知らせ機能をまとめた安全運転支援パッケージ『スマートアシストII』も上級グレードに標準装備されました。

派生型

ダイハツ ブーン

(初代~3代目同型車)
生産を担当しているダイハツで販売している同型車で、初代と2代目は共同開発車として形式上は別車、3代目はダイハツが単独開発したブーンをトヨタがパッソとしてOEM供給を受ける形になっています。

初代ブーンのみ、パッソにはない936ccターボエンジンや5速フルククロスマニュアルミッションを搭載したラリー/ダートトライアル向け競技ベース車『ブーンX4(クロスフォー)』がラインナップされていました。

パッソTRDスポーツM

(初代ベース)
初代1.3リッター車の『Racy(レーシー)』グレードをベースにTRDが開発、専用サスペンションや専用エアロを装着したスポーツモデルで、特にエンジンチューンなどは施されていませんが、初代パッソ唯一の5速MT車でした。

パッソセッテ・ダイハツ ブーンルミナス

(2代目ベース)
パッソ/ブーンをベースに開発した3列シート7人乗りミニバンで2008年12月発売、車重増加に対応して1.5リッターエンジンを搭載した、ダイハツ軽自動車のFF車をベースに拡大改良したモデルで最大にして唯一の3列シート車でした。

後席スライドドアを採用せずヒンジドアだったことや、エコカー減税に対応していなかったことが致命的となって販売は低迷、本来トヨタ シエンタ後継としてデビューしましたが、結局3年2か月で廃止されてシエンタの販売が再開されました。

ダイハツ トール・トヨタ タンク/ルーミー・スバル ジャスティ

(3代目ベース)
3代目パッソ/ブーンをベースに後席両側スライドドアを持つコンパクト・トールワゴンとして開発されたもので、ヒット作となったスズキ ソリオに追従して2016年11月に発売。

パッソセッテ/ブーンルミナスとは異なり2列シートのコンパクトカーとして開発されたため販売の障害はなく、車重増加にもダウンサイジングターボ的な1リッターターボで対応し、廉価版として1リッターNAエンジン搭載モデルもあります。

ソリオより良好な販売実績を記録し、ジャスティ以外の3兄弟はいずれも販売台数トップ50に入るヒット作です。

次期モデル大予想

現行の3代目パッソは2016年4月デビューで、現時点(2018年9月)時点ではまだ2年5か月が経過したに過ぎませんが、まだ特別仕様車を一度も設定していない事などは2代目までのパッソのパターンから考えると少々異質です。

2代目では4年まで初のマイナーチェンジ後6年目でモデルチェンジした事や、トールワゴン以外のベーシックなリッターカー専用車という意味ではライバル不在のため、しばらくは特別仕様車を時々追加しながら現状維持なのかもしれません。

ダイハツでは安全運転支援パッケージをステレオカメラ式から単眼カメラ+レーダー式の『スマートアシストIII』に進化させて軽自動車へは積極的に搭載しているため、現行パッソではまずスマートアシストIIIを搭載可能にするマイナーチェンジが先でしょう。

開発主体となったダイハツがスポーツモデルを積極的に展開したい姿勢を見せており、コンパクト・トールワゴンの『トール』4兄弟で採用している1リッターターボエンジンを搭載したい意向はありそうですが、実現はトヨタの許可次第と思われます。

なお、トヨタではこれまで各販売チャンネル(トヨタ店・トヨペット店・ネッツ店・カローラ店)で別々に販売している事の多かった車種を全チャンネルで販売する方針を決め、それに伴い車種もだいぶ整理されるようです。

まず整理対象となるのは各チャンネルごとに同型車の車名や形状違いの兄弟車が存在した車種(ノア3兄弟やポルテ/スペイド、アルファード/ヴェルファイアなど)が1車種にまとめられることで、さらに国内専用車(プレミオ/アリオン)も淘汰されると思われます。

パッソも国内専用車という意味では微妙な存在ですが、開発したダイハツでは輸出こそしていないものの同型車をインドレシアのアストラダイハツやマレーシアのプロドゥア社で海外生産しており、その意味では純粋な国内専用車ではありません。

生産効率化の観点で考えれば商用車のタウンエース/ライトエース(これもダイハツからのOEM)と同様、アストラダイハツで生産したものを輸入販売したいところですが、他社でタイやインドで生産・輸入販売しているコンパクトカーがいずれも販売不振な事から、トヨタがパッソを輸入販売に切り替える、全トヨタディーラーで販売する決断を下せるかどうかが注目されます。

あるいは、ヴィッツをエントリーモデルとして現在は『ピクシス』ブランドで消極的に販売している軽自動車を、全ディーラーで積極販売する方針に切り替えてパッソ代替とする可能性も否定できません。

モデルチェンジのサイクルは初代から2代目、3代目へと6年間隔なので、4代目パッソがあるとすれば2022年登場です。

ダイハツではかつて軽自動車用3気筒エンジン『KF-VE』の後継として2気筒エンジンを開発していましたが、パッソに2気筒エンジンを搭載することにトヨタが難色を示した事や、KF-VEの改良で必要とされる性能を発揮できてしまった事でお蔵入りとなりました。

それゆえ2022年頃でもまだKF-VEエンジンとリッターカー用1KR-FE、そのターボ版1KR-VET搭載車を販売している可能性は強く、そこは4代目パッソでもあえて変える必要性はないと思われます。

その一方でトヨタは『2025年頃までにエンジン車のみの車種はゼロにする』とも明言していますので、4代目パッソが実現するならハイブリッド車かEV(電気自動車)の設定は必須です。

『次期パッソはない』という可能性は否定しませんが、現状で存在すると仮定して2022年に現行同様に1リッターエンジン搭載の4代目パッソが登場、簡易的なモーターアシストを備えたマイルドHV、またはEV版が2025年までに追加と大予想させていただきます。

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