ポルシェ911 – いよいよ次世代はPHEV化で一皮むける?!歴史と伝統にハイテクも加わった速さを見せてきた歴代

自動車王国のひとつ、ドイツを代表するスポーツカーといえばやはりポルシェ、それも911であろうことに疑問を持つ人はいないでしょう。1964年に発売された初期モデルから50年以上がたち、そのメカニズムは大幅に近代化されてはいるものの、リアエンジン・リアドライブという基本構造は変わらず、今でも量産ロードカーとしてはトップクラスの性能を維持し続けているのです。

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目次

各代の概要と時代背景

名車356の後を継ぎ、50年以上も最強クラスの性能を誇る4座スポーツカー、911

自動車史に『ポルシェ』の名が登場するのは19世紀末、オーストリア生まれのフェルディナント・ポルシェという偉大な人物からです。彼は工学技術者であり、ウィーン工科大学の名誉博士であり、そして最高の自動車技術者でした。

1900年にはローナー・ポルシェという高性能の電気自動車を作り、その後ドイツでダイムラ・ベンツ(現在のダイムラー)の高級車やスポーツカーを作り、1931年に独立すると、アウトユニオン(現在のアウディ)からの依頼でレーシングカーも作ります。

そして第2次世界大戦直前には後にフォルクスワーゲン・タイプ1(通称『ビートル』)となる国民車を完成させ、それをベースとした軍用車両や戦車まで開発しました。

まさに自動車史に輝かしい業績を残したポルシェ博士でしたが、第2次世界大戦後は戦争協力の疑いで収監(実際には、単に受けた仕事をこなしていただけだった)されている間に、息子のフェリー・ポルシェがポルシェ社を存続させ、1台のスポーツカーを開発します。

それが1949年に発売されたポルシェ356で、試作車こそミッドシップの2シーターオープンスポーツだったものの、増加試作を経た量産モデルではRR(リアエンジン・リアドライブ)の2+2シーター、オープンまたはクローズドボディのスポーツカーとなっていました。

それから15年、ポルシェ356はヨーロッパや北米で人気のスポーツカーとなってポルシェ社を成長させ、1964年に356の後継車、ポルシェ911が登場します。

ポルシェ911は356からボディサイズ、価格帯ともだいぶランクが上がったので、最初から大人気モデルだったわけではなかったものの、その高性能が認められるようになると人気は拡大。

もちろん、成長したポルシェ社は911の後継となるようなスポーツカー(コンパクトな914やFRスポーツの924シリーズ、ラグジュアリーGTの928など)を開発し、一時は911を廃止する決断まで下すものの、もはやユーザーの方が911の廃止を許さなかったのです。

結果、いくつものモデルがポルシェ社で生まれ、消えていく中でも911は生き残り、次期型では強力なスポーツ・ハイブリッドまで登場すると言われています。

単に歴史と伝統を誇るだけでなく、時代によってバージョンアップされた高性能なメカニズムより、50年以上たった今でも基本的なレイアウトはそのままに、まだまだ世界最高レベルの性能を誇る量産スポーツカーとして君臨しているのです。

スポーツカー、そして比較的安価にメジャーレースに参加したい世界中のユーザーにとって、ポルシェ911とは欠かせない存在となっています。

総合概要:昔も今も最強、水平対向エンジン搭載のリアエンジンスポーツ

ポルシェ911は1964年の発売後、2018年までに7世代54年間も作られているだけあって、通称『ナローポルシェ』と呼ばれる初代901型と、現在の991型ではボディサイズも使われているテクノロジーも大きく異なります。

初代、特にその初期型が『ナロー』と呼ばれていたように、改良されるに従いパワーが増大したのに合わせて太いタイヤを履くようフェンダーは拡幅、走行安定性や衝突安全性能の向上に伴い、ボディサイズはだいぶ大きくなりました。

さらに、当初自然吸気の2,000cc空冷水平対向6気筒から始まったエンジンも、排気量拡大、高圧縮比化、ターボ化といった進化を経て、1997年発売の996型からは水冷エンジン化。

駆動系も1989年に発売された964型以降は4WDも追加され、最新の991型では4WS機構の『アクティブリアホイールステアリング』すら搭載されています。

それでも911は依然として水平対向6気筒エンジンをリアに搭載したRR(リアエンジン・リアドライブ)であり、丸目2灯ヘッドライトを持つフロントマスクとリアのエンジンフードからは911以外の何者にも見えません。

1974年に発売された930型以降で確立された、標準的なパワーの『911カレラ系』と、強力なタービンを組み合わせたハイパワーモデル『911ターボ系』も不変であり、996型以降でレース規則に準じた『911GT系』が追加されたくらい。
単に昔と同じレイアウトやデザインコンセプトというだけでなく、本当に基本構造もそのままであり、フロアやバルクヘッドの一部は初代901型とそのままの部品が使える部分もあると噂されているほどです。

そのためオールド911に最新の911用メカニズムを搭載するスーパーリフレッシュ(というより丸っきりチューニング)すら行われており、昔も今も変わらぬ姿で、その時代の量産スポーツにおける『最強』を自他ともにも認めています。

もちろん、日産のR35型GT-Rのように911を脅かす存在は常にありますが、それらが生産終了しても911だけはいつまでも残っているところが、ポルシェ911の凄みであり、ユーザーにとってはポルシェ社への厚い信頼の元となっています。

現在のポルシェ社はカイエンやマカンといったSUV、パナメーラのようなスポーツサルーンが販売の主力となっており、純粋なスポーツカーメーカーではありませんが、911こそはポルシェ社のイメージリーダーであり、魂なのです。

通称『ナロー』、11年かけて911の基礎を築き上げた初代901(911F)型(1964-1977)

ごく初期の911がデビューしたのは1963年、フランクフルトショーに登場したプロトタイプであり、翌1964年に発売された初期型も含め、その当初『ポルシェ901』として発売されました。

ただ、『3桁数字の真ん中に0を持ってきた車名』はフランスのプジョーが商標登録していたため即座にクレームが入り、ポルシェ911へと改名しました。

当時のポルシェはそれに気づかず、901の他にレーシングカーの904(第2回日本グランプリでスカイラインGTと大激闘を行ったマシン)も生産していましたが、同様にカレラGTSへと変更しています。

なお、それでも開発コードは901のままだったので、この初代モデルは『901型』と呼ばれることが多いのですが、ポルシェの公式HPでは『911F』と表記しており、注意が必要です。日本で広く一般に知られている解釈と、ポルシェ公式の解釈の違いは以下の通り。

一般的な解釈

901型:1964年に発売され、1974年にターボ車が930型(ポルシェ930ターボ)として発売後も1977年まで生産・販売された自然吸気エンジン車も含み、廉価版912全てもこの型。

930型:1974年に発売されたターボ車と、1978年以降ターボ車と同じボディになった自然吸気エンジン車。

ポルシェ公式の解釈

911F型:1964年に発売された初期の901、直後に改名して1973年まで生産された911、1965年から1969年まで生産された廉価版912。

911G型:1974年から1989年まで生産・販売された全ての911と、1976年に914から924までのつなぎで短期間生産・販売された廉価版912E。

それより問題だったのは、1.6リッター水平対向4気筒エンジンを搭載、2+2シーターだったとはいえ後席は補助席程度だった356と異なり、2リッター水平対向6気筒、ホイールベースを伸ばして後席も実用性を高め、車格が上がったことです。

これにより価格が上昇、356の完全な後継車になりきれないと見込まれたため、356のエンジンを搭載した廉価版912も並行して作りますが、911がその高性能から人気モデルになるには、少々時間がかかることとなりました。

また、量産体制にも不備があり、組み立て時のサスペンション組み付け精度が悪く、リアエンジンゆえのバランスの問題もあってフロントバンパーに11kgもの重りを取り付けねばならなかったことや、選定したキャブレターもパワーが出ないので後に交換など、その船出には苦戦しています。

ただし、完全新開発した空冷水平対向SOHC6気筒エンジンは、当初2リッターからスタートしたとはいえ、2.7リッター程度までの排気量拡大は最初から織り込み済みだったのが、後々役に立ちました。
901型911のラインナップは大別すると以下のようになります。

廉価版

911T(1968~1969):レースなどで改造しても問題ない範囲をデチューンした2リッター110馬力エンジン

911T/2.2(1969~1971):2.2リッター125馬力
911T/2.4(1971~1973):2.4リッター130馬力

通常版

911(1964~1967):2リッター130馬力エンジン
911L(1968):2リッター130馬力
911E(1969):2リッター140馬力
911E/2.2(1969~1971):2.2リッター155馬力
911E/2.4(1969~1973):2.4リッター165馬力
911/2.7(1973~1977):2.7リッター150馬力(後に175馬力)。ビッグバンパー(911G)

高性能版

911S(1967~1969):高圧縮比化した2リッター160馬力エンジンを搭載、1969年に170馬力化
911S/2.2(1969~1971):2.2リッター180馬力
911S/2.4(1971~1973):2.4リッター190馬力
911S/2.7(1973~1974):2.7リッター175馬力、ビッグバンパー(911G)
911カレラ(1974~1975):2.7リッター200馬力、ビッグバンパー(911G)
911SC/2.7(1974~1975):2.7リッター210馬力、ビッグバンパー(911G)
911カレラ3.0(1975~1977):3リッター200馬力、ビッグバンパー(911G)

レース用など特殊な高性能版

911R(1967):高圧縮比化、ビッグバルブ化した2リッター210馬力エンジン搭載、軽量化したレース /ラリー用車両

911カレラRS2.7(1973):2.7リッター210馬力エンジンを搭載し、軽量化したグループ4レース用ホモロゲーション車で、通称『73カレラ』として知られる名車

911カレラRS3.0(1975):3リッター230馬力、ビッグバンパー(911G)

911カレラRSR(1975);カレラRS2.7、またはカレラRS3.0をレース用に改造、2.8リッター300馬力または3リッター345馬力、ビッグバンパー(911G)

上記の中で(911G)と表記されているのが、まだ『930ターボ』と呼ばれていた頃の930型と並行販売されていたモデルで、資料によってはこれを『911クラシックGモデル』と呼んだりもします。

なお、ボディタイプは当初2ドアクーペのみでしたが、1967年以降前席頭上のルーフを着脱できるタルガトップタイプの『911タルガ』が加わっていました。

また、この901型ではターボ車登場前で全幅も狭かったことから『911ナロー』などと呼ばれますが、1968年には幅の広いタイヤを履くためホイールアーチを追加、さらにホイールベースも57mm延長されたことから、厳密にはそれ以前を『ナロー』と呼んでおけば間違いありません。

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 901(911F)型 911 1964年式
全長×全幅×全高(mm):4,163×1,610×1,320
ホイールベース(mm):2,211
車重(kg):1,080
エンジン:空冷水平対向6気筒SOHC12バルブ
排気量:1,991cc
最高出力:96kw(130馬力) / 6,100rpm
最大トルク:175N・m(17.8kgm) / 4,200rpm
乗車定員:4人
駆動方式:RR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)セミトレーリングアーム
中古車相場(各型全て):398万~2,300万円(各型含む)

ターボ登場、『最後の911』になりかけた2代目930(911G)型(1974-1989)

1974年、2代目911となる930型が登場しますが、この型は少々奇妙というか、ややこしい登場の仕方をしました。
見た目は901型ポルシェ911のビッグマイナーチェンジ版のようであり、丸目2灯ヘッドライトにアメリカの法規に合わせたビッグバンパーを組み合わせたフロントマスクなど、901後期型(911G型)とひと目で区別はつきません。

しかし、そのエンジンルームにはポルシェが917Kなどのレーシングカーで培った技術を注ぎ込み熟成したターボエンジンを搭載し、当初その大トルクに耐えるミッションがなかった事情もあり、4速マニュアルミッションと組み合わせます。

ポルシェ社はこれを『ポルシェ930ターボ』と称し、ポルシェ911とは別モデルと説明したのです。

実際、911G型、すなわち901後期型は自然吸気エンジンを搭載して、デザインこそ930型に合わせてはいたものの、あくまで930型とは別ボディで1977年まで生産・販売されていました。

しかし、1978年に自然吸気エンジンモデルも930型にモデルチェンジすると、930ターボの方もカタログ上の名称が一時二転三転しますが、結局はその姿にふさわしく『911ターボ』で落ち着くことになります。

そして911ターボはこれ以降、911の高性能を代表する中心的モデルとして君臨していくことになるのでした。なお、ボディタイプは1983年に356以来途絶えていたフルオープンモデルのカブリオレが復活し、クーペ / タルガ / カブリオレという3ボディタイプもこの930型で確立します。

こうして現在までの911の基礎が完成したと言える930型ですが、その一方でポルシェ社は新世代のFRスポーツ、944にもターボ車を設定すると、944を後継として911はこの930型で廃止することを表明したのです。

そのままいけば911の歴史は短いもので終わり、後年になって復刻版が発売されそうな『過去の名車』で終わるところで、実際356末期にも設定された『SC(スーパーカレラ)』グレードを設定して、911の最後の花道を飾ったと思われました。

しかし、既に911の魅力にドップリ浸かっていたユーザーからの反発、そして何より肝心の924の販売が振るわなかったことでポルシェ社は911廃止を撤回、次期モデル964型の開発に取り掛かり、自然吸気版の名称もSCからカレラへと戻るのです。

930型のラインナップは以下。

自然吸気版

911SC(1978~):3リッター180馬力
911SCS(1978):3リッター200馬力
911カレラ(1984~1989):3.2リッター225馬力

ターボ版

930ターボ / 911ターボ(1974~1985):3リッターターボ260馬力(1977年に空冷式インタークーラー追加で300馬力)
911ターボ(1986~1989):3.3リッターターボ288馬力
911ターボ・フラットノーズ(1988):3.3リッターターボ330馬力、リトラクタブルライト版
911ターボS(1989):3.3リッターターボ330馬力

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 930(911G)型 930ターボ 1974年式
全長×全幅×全高(mm):4,291×1,775×1,320
ホイールベース(mm):2,271
車重(kg):1,200
エンジン:空冷水平対向6気筒SOHC12バルブ ターボ(IC無し)
排気量:2,994cc
最高出力:191kw(260馬力) / 5,500rpm
最大トルク:343N・m(35.0kgm) / 4,000rpm
乗車定員:4人
駆動方式:RR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)セミトレーリングアーム
中古車相場(各型全て):430万~1,750万円(各型含む)

新世代911として継続決定!4WDも登場した3代目964型(1989-1994)

継続の決まった911ですが、ポルシェ社としては911のイメージを崩さないようデザインは901型以来の超キープコンセプトを貫きつつ、大幅なメカニカル・アップデートを必要としていました。

そこで1989年に発売されたのが3代目964型で、確かによほど車に、それもポルシェに詳しい人でないと外観上の区別は901型後期からも全く区別のつかないレベルでしたが、空気抵抗の低減などに気を使った上で大幅にパワーアップ。

さらにサスペンションもそれまでフォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)から356を経て闘将していたトーションバー・スプリングをやめて前後コイルスプリングになり、スーパーカーのポルシェ959で培った4WDモデルも投入されました。

モデルチェンジはその4WD版カレラ4を手始めとして順次行われましたが、カレラ4が最初だったので『RRレイアウトで軽量な2WDの911』を求めていたユーザーはむしろ翌年発売のカレラ2に喜んで飛びついたというエピソードが残っています。

その一方でリアサスペンション形式は従来からのセミトレーリングアームを踏襲しましたが、次世代以降の路面追従性に優れていたマルチリンクより、限界のつかみやすいセミトレーリングアームを好むユーザーが多かったのもスポーツカーの911ならではでした。

そのため歴代911の中でも964型の人気は高く、『頭文字D』とともに走り屋御用達の人気漫画『湾岸ミッドナイト』シリーズに登場するポルシェ911『ブラックバード』は、初期を除き964型のターボが登場し続け、シリーズ全体では主人公のはずのS30フェアレディZより出番が多くなっています。

964型のラインナップは以下。

自然吸気版

911カレラ4(1989~1994):3.6リッター250馬力、4WD
911カレラ2(1990~1994):3.6リッター250馬力
911カレラ4ライトウェイト(1991~1994):カレラ4の軽量版
911カレラRS(1992):3.6リッター260馬力
911カレラRS3.8(1992):3.8リッター300馬力
30 Jahre 911(1993):ターボルックのカレラ4、4WD
911スピードスター(1993):カレラ2カブリオレの2名乗車軽量版
911カレラRSR(1994):3.8リッター325馬力
911 964カップ(1990-1993):カレラ2のポルシェカレラカップ仕様、1991年まで265馬力、1993年前275馬力

ターボ版

911ターボ(1991~1992):3.3リッターターボ320馬力
911ターボリミテッド(1991~1993):3.3リッターターボ350馬力
911ターボIMSA(1993):3.3リッターターボ381馬力
911ターボ3.6(1993~1994):3.6リッターターボ360馬力

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 964型 911ターボ 1991年式
全長×全幅×全高(mm):4,250×1,775×1,310
ホイールベース(mm):2,277
車重(kg):1,470
エンジン:空冷水平対向6気筒SOHC12バルブ ICターボ
排気量:3,299cc
最高出力:235kw(320馬力) / 5,750rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgm) / 4,500rpm
乗車定員:4人
駆動方式:RR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)セミトレーリングアーム
中古車相場(各型全て):458万~2,880万円(各型含む)

最後の空冷911として人気の4代目993型(1993-1998)

1993年発売、日本では1995年から登場した993型は、ひと目でポルシェ911とわかるデザインアイデンティティは残しつつ、1989年に発表されたコンセプトカー『パナメリカーナ』と同テーマのボディデザインを採用して、901型からの古風なスタイルとは決別しました。

さらに操縦性改善、高性能化によるさらなる高速域での安定性を目指し、ついにリアサスペンションがマルチリンク化されるなど、『新世代911』に近い内容です。

しかし、それでいて中古車市場で911ファンからこの993型が異様な人気を誇る理由が、『最後の空冷エンジン911』という点であり、一度惚れ込んだ車から昔の名残が消えぬうちにと、市場では旧車並のプレミア価格がついていることも珍しくはありません。

騒音規制もあってノーマルでは「吠える」ことを避けるギア比設定が行われたため加速性能は964型ほどではなくなっていますが、排気効率改善や可変吸気機構『バリオラム』搭載により、エンジンスペックはそれまでの空冷エンジンの集大成というべきレベルに昇華しました。

なお、この993型よりターボは4WD車となって高速安定性を増していますが、通常時の前後配分はフロント5:リア95とされ、RR車らしいドライブフィーリングを重視したものとなっています。

993型の日本でのラインナップは以下。

自然吸気版

911カレラ(1995~1997):3.6リッター285馬力
911カレラS(1995~1997):3.6リッター285馬力、ワイドボディ
911カレラ4(1995~1997):3.8リッター300馬力、4WD
911カレラ4S(1995~1997):3.6リッター285馬力、4WD、ワイドボディ
911カレラRS(1995~1997):3.8リッター300馬力

ターボ版

911ターボ(1995~1997):3.6リッターターボ408馬力、4WD
911ターボS(1996~1997):3.6リッターターボ430馬力、4WD

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 993型 911ターボ 1995年式
全長×全幅×全高(mm):4,245×1,795×1,285
ホイールベース(mm):2,270
車重(kg):1,500
エンジン:空冷水平対向6気筒SOHC12バルブ ICツインターボ
排気量:3,600cc
最高出力:300kw(408馬力) / 5,750rpm
最大トルク:530N・m(54.0kgm) / 4,500rpm
乗車定員:4人
駆動方式:4WD
ミッション:6MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):458万~2,980万円(各型含む)

水冷化とボクスタールックが特徴の5代目996型(1997-2004)

1997年発売(日本では1998年)、初代901型以来30年以上使い続けてきた空冷水平対向6気筒エンジンが、ついに新開発の水冷化、合わせてDOHC4バルブ化および可変バルブ機構が採用されて一気に近代化されました。

これにより自然吸気のベースモデル、カレラ系など小排気量化にも関わらず出力向上、ターボエンジンも水冷化による油温管理が容易になり、オイル漏れが減少するなど耐久性が向上しています。

また、ボディはホイールベース延長による全長の延長、それに伴いフロントガラスをさらに寝かせて空気抵抗を減少させ、全幅拡大によりフロント左右に分割してラジエターを配置するなど、従来の911から補機類の種類や配置なども大きく変更されました。

『初のフルモデルチェンジ』と称させるほどの変更はデザイン面にも及びましたが、主にコストダウンを目的とした初代ボクスターとの共用部品の多さ(特にフロント部はソックリ)はユーザーからの批判を浴びてしまいます。
そのため、遅れて発売された911ターボ系や、マイナーチェンジ後のモデルではフロント部のデザインが大きく変更されました。

なお、996型発売時にはボディ大型化やボディ剛性向上にも関わらず先代993型より軽量化されたことが話題になりましたが、結局マイナーチェンジでさらに剛性アップを行った際に(それでも993型よりは軽かったものの)重量増加を招いています。

その他、前期型では初期の内装がビニール貼りでドリンクホルダーは簡素な着脱式、助手席のグローブボックスもないなど高級スポーツらしからぬ仕上がりも非難の対象となり、内装は前期型の途中で、その他もマイナーチェンジの大幅な手直しで改善されました。

そうした仕上がりの粗さもあってか、996型の特に前期型は『全面新設計』という意気込みとは裏腹に評価が低く、中古車価格も歴代モデルでは最も低めで推移しています。

ちなみに、レーシングベースモデルで2シーターのGT2(ターボ)、GT3(自然吸気)系はこの996型で初設定され、当初はレース参戦ユーザー向け限定生産だったのが、後期にはカタログモデル化されました。

996型の日本での主要ラインナップは以下。

自然吸気版

911カレラ / カレラカブリオレ(1998~2004):3.4リッター300馬力→3.6リッター320馬力
911タルガ(2001~2004):3.6リッター320馬力
911カレラ4 / カレラ4カブリオレ(1998~2004):3.4リッター300馬力→3.6リッター320馬力、4WD
911カレラ4S / カレラ4Sカブリオレ(2001~2004):3.6リッター320馬力、4WD、ワイドボディ
911GT3(2003~2004):3.6リッター381馬力
911GT3RS(2003~2004):3.8リッター381馬力

ターボ版

911ターボ / ターボカブリオレ(2000~2004):3.6リッターターボ420馬力、4WD
911ターボS / ターボSカブリオレ(2004):3.6リッターターボ450馬力、4WD
911GT2(2001~2004):3.6リッターターボ462馬力→483馬力、2WD

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 996型 911ターボ 2000年式
全長×全幅×全高(mm):4,435×1,830×1,295
ホイールベース(mm):2,350
車重(kg):1,540
エンジン:水冷水平対向6気筒DOHC24バルブ ICツインターボ
排気量:3,600cc
最高出力:309kw(420馬力) / 5,700rpm
最大トルク:560N・m(57.0kgm) / 2,700~4,600rpm
乗車定員:4人
駆動方式:4WD
ミッション:6MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):128万~1,080万円(各型含む)

再び911ルックへ回帰し人気回復。7速PDKを採用した6代目997型(1997-2002)

2004年から登場した997型は、不評な点の多かった996型のビッグマイナーチェンジ版と言えるもので、前期型は特に不評だった前後デザインの変更による『911らしさ』への回帰を成し遂げつつ、ボクスターやケイマンと可能な限りの部品共用でコストダウンの両立に挑みました。

ボディ剛性もさらに補強されて重量も増加しますが、マイナーチェンジされた後期型からは自然吸気のカレラ系が新型の直噴エンジンへ変更され、さらに変速速度に難のあった5速AT(ティプトロニック)も7速DCT(デュアルクラッチミッション)へ変更。

さらに電子制御サスペンションなどの採用により、996型ベースながらマイナーチェンジ後は見違えるような速さも手に入れ、デザインの原点回帰と合わせて911の人気を回復させました。

997型の日本での主要ラインナップは以下。

自然吸気版

911カレラ / カレラカブリオレ(2005~2011):3.6リッター325馬力→345馬力
911カレラS / カレラSカブリオレ(2004~2011):3.8リッター355馬力→385馬力
911カレラGTS / カレラGTSカブリオレ(2010~2013):3.8リッター408馬力、ワイドボディ
911タルガ4(2006~2013):3.6リッター325馬力→345馬力、4WD
911カレラ4 / カレラ4カブリオレ(2005~2012):3.6リッター325馬力→345馬力、4WD
911カレラ4S / カレラ4Sカブリオレ(2005~2012):3.8リッター355馬力→385馬力、4WD、ワイドボディ
911タルガ4S(2006~2013):3.8リッター355馬力→385馬力、4WD
911カレラ4GTS / カレラ4GTSカブリオレ(2011~2013):3.8リッター408馬力、4WD、ワイドボディ
911GT3(2006~2013):3.6リッター415馬力→3.8リッター435馬力
911GT3RS(2006~2013):3.6リッター415馬力→3.8リッター435馬力

ターボ版

911ターボ / ターボカブリオレ(2006~2013):3.6リッターターボ480馬力→3.8リッターターボ500馬力、4WD
911ターボS / ターボSカブリオレ(2010~2013):3.8リッターターボ530馬力、4WD
911GT2(2008~2013):3.6リッターターボ530馬力、2WD

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 997型 911ターボS 2006年式
全長×全幅×全高(mm):4,450×1,850×1,300
ホイールベース(mm):2,350
車重(kg):1,580
エンジン:水冷水平対向6気筒DOHC24バルブ ICツインターボ
排気量:3,600cc
最高出力:353kw(480馬力) / 6,000rpm
最大トルク:620N・m(63.2kgm) / 1,950~5,000rpm
乗車定員:4人
駆動方式:4WD
ミッション:6MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):285万~2,380万円(各型含む)

軽量化と4WS採用が特徴の7代目991型(2011-)

2011年から登場した最新の991型では、アルミやマグネシウムなど軽合金を使った複数の素材によるスチール・アルミハイブリッドシャシーで、今度こそ軽量化と剛性アップに成功。

全高こそほとんど変わらないものの全長・全幅はさらに拡大されてフロントガラスも寝かされ、迫力あるワイド&ローポロポーションに変身しました。

その結果、内部のメカニズムなどではボクスターやケイマンと共用部分はあるものの、外装部品での共用はなくなり、内装も高級スポーツサルーンのパナメーラに準じたものとなって、ポルシェのフラッグシップらしい高級感を取り戻しています。

また、ワイド&ロー化で高速安定感が増した分だけ運動性を取り戻すため、ターボ系やGT3では4WD機構の『アクティブリアホイールステアリング』が採用されたのもポイントです。

カレラ系のエンジンはボクスターSなどと同様でしたが、後にボクスターやケイマンは水平対向4気筒のダウンサイジング(というよりライトサイジング=排気量適正化)されたターボエンジンに変更されたので、再び差別化に成功しました。

ターボエンジンも993型から997型まで使っていた911GT1(930型ベースのレーシングカー)由来のエンジンブロックを持つ3,600ccエンジンとは完全に決別して全て新型に移行。ミッションも7速DCT(PDK)はそのままですが、それをベースにMTも7速化されました。

さらに2015年のマイナーチェンジでカレラ系のエンジンもついにライトサイジングターボ化され、大排気量自然吸気エンジンはGT3系に残されるのみとなっています。

991型の日本での主要ラインナップは以下。

タルガ系

911タルガ4(2014~):3.4リッター350馬力→3リッターターボ370馬力、4WD
911タルガ4S(2014~):3.8リッター400馬力→3リッターターボ420馬力、4WD
911タルガ4GTS(2015~):3.8リッター430馬力→3リッターターボ450馬力、4WD

カレラ系

911カレラ / カレラカブリオレ(2011~):3.4リッター350馬力→3リッターターボ370馬力
911カレラS / カレラSカブリオレ(2011~):3.8リッター400馬力→3リッターターボ420馬力
911カレラGTS / カレラGTSカブリオレ(2014~):3.8リッター430馬力→3リッターターボ450馬力、ワイドボディ
911カレラ4 / カレラ4カブリオレ(2012~):3.4リッター350馬力→3リッターターボ370馬力、4WD
911カレラ4S / カレラ4Sカブリオレ(2012~):3.8リッター400馬力→3リッターターボ420馬力、4WD、ワイドボディ
911カレラ4GTS / カレラ4GTSカブリオレ(2014~):3.8リッター430馬力→3リッターターボ450馬力、4WD、ワイドボディ

GT系

911GT3(2013~):3.8リッター475馬力→4リッター500馬力
911GT3RS(2018~):4リッター520馬力

ターボ系

911ターボ / ターボカブリオレ(2013~):3.8リッターターボ520馬力→540馬力、4WD
911ターボS / ターボSカブリオレ(2013~):3.8リッターターボ560馬力→580馬力、4WD

代表スペックと中古車相場

ポルシェ 991型 911ターボS 2018年式
全長×全幅×全高(mm):4,507×1,880×1,297
ホイールベース(mm):2,450
車重(kg):1,675
エンジン:水冷水平対向6気筒DOHC24バルブ ICツインターボ
排気量:3,800cc
最高出力:427kw(580馬力) / 6,750rpm
最大トルク:700N・m(71.4kgm) / 2,100~4,250rpm
乗車定員:4人
駆動方式:4WD
ミッション:7速PDK
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):700万~3,480万円(各型含む)

各代の新装備

新開発水平対向6気筒と、スポルトマチックを初搭載した初代901型

ポルシェでは最初の356以来、550やレーシングカーでも904の初期型などいずれも空冷水平対向4気筒エンジンを搭載していましたが、元はといえばフォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)由来のエンジンから、911の初代901型では新開発エンジンを搭載しました。

それが現在まで脈々と受け継がれるボクサー6(フラット6、F6とも)、水平対向6気筒エンジンで、356までのOHVエンジンから、将来的な高出力化を見越したSOHCエンジンを採用し、デビュー後すぐに高出力化、大排気量化を繰り返していきます。

また、ザックス社と共同開発した4速セミオートマの『スポルトマチック』も採用、これは現在のセミATのように電子制御ではなく、単にシフト操作を検知するとクラッチが自動的に切れるだけの『オートクラッチ』というべきものでしたが、当時は様々な車に使われたものでした。

スポルトマチックはポルシェ911だと901型に使われたほか、930型でも若干ながら使われています。

また、初期には燃料供給方式がキャブレター(気化器)のみでしたが、1968年以降生産されたモデルからボッシュ製の機械式インジェクション(燃料噴射装置)が採用されるようになり、北米のように排ガス規制の厳しい地域ではキャブレターが使われなくなっていきました。

なお、ボディの方も初期には防錆性が弱かったので経年劣化によるサビの進行が早かったのですが、1976年以降はティッセン製の溶融亜鉛メッキ防錆鋼板が使われるようになって、耐久性が大幅に向上しています。

さらに、主要市場である北米の安全基準見直しもあり、通称『5マイルバンパー』と呼ばれる大型バンパーが装着されるようになりました。

ターボチャージャーを初搭載した2代目930型

デビュー当初『930ターボ』と呼ばれたように、2代目930型の新装備といえばターボチャージャーです。

当初はインタークーラーを持たないKKK(現在のボルグワーナー)製タービンを搭載、電子制御機械式インジェクションのKEジェトロで燃料供給するエンジンと組み合わせ、ブースト0.8kで260馬力を発揮していました(馬力は排ガス規制など販売地域により、日本では245馬力)。

それが1977年から生産されたタイプでは空冷インタークーラーが追加されて300馬力(日本では265馬力)を発揮するようになり、最終的には排気量も3リッターから3.3リッターに拡大されて、330馬力を発揮しています。

なお、1988年のみ限定的に販売された『911ターボ・フラットノーズ』では、歴代ポルシェ911で唯一、リトラクタブルライトが採用されました。

959の開発実績を活かした4WD採用の3代目964型

ポルシェでは市販車初の実測での最高速300km/hを可能にしたスーパーカー、959に電子制御可変スプリット式4WDを採用していましたが、911の3代目964型ではこれを簡素化したビスカスカップリング式のフルタイム4WDシステムが初採用されました。

市販スポーツカーへの4WD採用としてはかなり早い方で、高速安定性や旋回時の安定性向上に寄与し、RR方式の駆動レイアウトで生じる弱点を解消したと言われたものの、この当時のユーザーはむしろ軽快な2WDのカレラ2を好んだとも言われます。

また、長らくビートル由来のトーションバースプリングを採用してきましたが、これもコイルスプリングに変更することでセッティング幅が広がり、現代的なハンドリング性能をもたらしたメリットも大きかったかもしれません。

ミッションは930型まで使われたセミAT(オートクラッチ)のスポルトマチックに代わり、4速ATの『ティプトロニック』を採用。

シフトセレクターで手動変速が可能なクラッチレスミッションなので、一見するとセミAT的に見えますが、実際は単に通常のトルコン式ステップATに手動操作の要素を加えただけです。

いわば『マニュアルモードつきAT』に過ぎないのですが、それでもポルシェのようなマニアックなスポーツカーをオートマで操れるというのは当時としては新鮮であり、イージードライブを可能にして間口を広げた功績は非常に大きなものでした。

4WDターボ化とマルチリンクサス採用の4代目993型

930型から964型までは普通に2WD車だった911ターボでしたが、次第にパフォーマンスアップして過激な性能を得るようになってきたことや、ティプトロニック採用で広がった間口でさまざまなスキルのユーザーが運転するようになって、安定志向を高めます。

そうなると必然的に採用されるのが4WDで、通常は前5:後95の割合で軽快な2WD感覚で走りますが、高速安定性を求められる局面では前輪への駆動配分を増やす4WDのメリットを活かして、さらなるパフォーマンスアップへの道を開きました。以降、911ターボはレーシングベースモデルのGT2を除き、基本的には4WDターボとしてラインナップされていきます。

また、安定志向はリアサスペンションにも及び、マニアックなユーザーにとっては限界のわかりやすかったセミトレーリングアームから、それなりのユーザーが乗れば限界を超えず、腕に覚えのあるユーザーなら引き出せる限界の深まったマルチリンクサスを採用。その高い路面追従性で、際限なく高性能化していく911を支えていきました。

水冷DOHC4バルブエンジンへと一新した5代目996型

5代目996型では完全新開発、それまでの空冷から環境対策がしやすく耐久性も向上できる水冷式に変更、可変バルブ機構『バリオカム』と吸気管切り替え機構『バリオラム』を搭載したDOHC4バルブヘッドを組み合わせた新エンジンになりました。

なお、『バリオカム』はバルブタイミングを切り替えるのみでしたが、ターボエンジンやマイナーチェンジ後の自然吸気エンジンに採用された『バリオカムプラス』では、バルブタイミング連続可変、およびバルブのリフト量も可変式になって、より緻密な制御を可能にしています。

さらに964型で4WDおよびティプトロニックを採用して以降の安定志向はさらに高まり、PSM(姿勢安定制御装置。国産車では横滑り防止装置やスタビリティコントロールなどと呼ばれる)が後期型で標準装備になりました。

マイナーチェンジで直噴エンジンとDCTを採用した6代目997型

997型のメカニズムは当初996型を踏襲していましたが、マイナーチェンジを受けた後期型ではカレラ系のエンジンが新設計の直噴エンジンへと変更され、5速ティプトロニックも7速PDKへと変更されました。

PDKはマニュアルモード付きトルコンATに過ぎなかったティプトロニックとは異なり、DCT(デュアルクラッチミッション)という、2つのクラッチを電子制御で巧みに操る事により、手動変速よりはるかに速い高速変速を可能にした本格的セミATです。

構造的にはマニュアルミッションそのもののため、街中の渋滞時などは変速の衝撃などでどうしてもギクシャクしがちにはなるものの、変速速度の速さから本気での走り系ユーザーも納得するミッションでもあり、現在の高性能スポーツはほぼこのタイプになっています。

さらにビルシュタインと共同開発した可変減衰力ダンパー『PASM』もカレラS系で標準装備、カレラ系にもオプションで装着可能になり、マイナーチェンジ後の997型は自然吸気のカレラ系で996型のターボ車より速いタイムを刻むなど、走行性能が大きく向上しました。

なお、日本への正規割り当ては17台のみでしたが、ハイパフォーマンスのレーシングベースモデル『GT3RS4.0』では、高速域でフロントのダウンフォースを向上させるためのフロントカナードが、911としては初装着されました。

ポルシェ初のアクティブ4WSを採用した7代目991型

構造面では軽合金を多用したスチール・アルミハイブリッドシャシーを採用するなど、素材まで踏み込むかなり思い切った改良を行った7代目991型ですが、装備面で光るのはGT3やターボで採用した4WS(4輪操舵)『アクティブリアホイールステアリング』です。

ポルシェでは昔、928に『バイザッハ・アクスル』という、路面からの入力に応じてリアタイヤのトー角が変化する一種のナチュラル4WS、あるいはパッシブ(受動的)4WSを採用していましたが、電子制御で積極的に車をコントロールするためのアクティブ4WSはポルシェ初。

他にもフロントスポイラーが可変式となる『アクティブエアロダイナミクスシステム』(ターボS)や、アクティブスタビライザー、トルクベクタリング、ダイナミックエンジンマウント、可変減衰力ダンパーなど、まさに電子制御の塊になりました。

かつて『ジッポーとポルシェは男の最後の砦』などと言われたポルシェ911ですが、今や誰でも安全に、そして排ガスや騒音など環境にも優しいスポーツカーとして、時代の流れに適合しようとしています。

派生型

ポルシェ911にはルーフやゲンバラといった名チューナーの手がける911ベース・モンスターマシンもありますが、ここではポルシェ純正マシンについてのみ紹介します。

ポルシェ912(初代901型)

初代901型ポルシェ911が、それまでのポルシェ356より大きく高価に過ぎるため、356最終型のエンジンを搭載した廉価版がポルシェ912です。

ポルシェとしては356後継として、フォルクスワーゲンとの共同企画で、通称『ワーゲンポルシェ』と言われるミッドシップに水平対向4気筒エンジンを搭載したポルシェ914を発売することになります。

しかし、356と914のつなぎ役が必要になったので登場したのが912で、動力性能は当然911に劣るのですが、エンジンが軽いため重量バランスはむしろ優れているという特性もあり、案外912の方を好むユーザーもいました。

もちろん914が発売されれば用済みとなった一度は消滅しますが、914の後継924が発売されるまでに少々期間が空くので、912Eとして北米市場向け限定で再登場した事もあります。

ポルシェ934(2代目930型ベース)

後の911GT3的なレーシングカーで、1976~1977年に400台が生産され、多くのプライベーターがレースに参戦して猛威を振るったグループ4レーシングカーが934。

カレラRSR3.0用の3リッターエンジンをポルシェ初の水冷インタークーラーターボ化し、迫力あるフロントバンパーやオーバーフェンダーで武装した姿が特徴でした。

ポルシェ935(2代目930型ベース)

最強バージョンは通称『モビィ・ディック』と呼ばれたグループ5レーシングカーで、930ターボをベースにビッグタービン、水冷式インタークーラーを組み合わせ、初期型で500馬力、モビィ・ディックに至っては900馬力以上を発揮した怪物シルエット・フォーミュラです。

あまりの強さにライバル不在となってレースを締め出された917Kに代わり、小排気量ターボで大排気量者を追いかけ回そうとしたのですが、あまりの強さにやはりライバル不在となってしまいました。

オリジナルの935もプライベーターに販売されましたが、911や930ターボから改造したプライベーター版935的なモデルも存在します。

また、空力を突き詰めたフラットノーズは後に930ターボ改め911ターボへフィードバックされ、930型の末期に911ターボ・フラットノーズが限定販売されています。

ポルシェ959(2代目930型ベース)

ボディパネルは新設計で電子制御4WDシステムを組み込むなど共通点はほとんどないものの、930型がベースなので一応後席もあって4名乗車が可能、それゆえファミリーカーにも使える300km/hスーパーカーがポルシェ959です。

グループBレーシングカーとしてポルシェ962C(グループCレーシングカー)用の半水冷ターボエンジンをデチューンして搭載し、200台作ればいいところをオーダー殺到につき283台が作られたと言われます。

レーシングカーとしては実績を残せず、WRC(世界ラリー選手権)でも活躍の舞台はありませんでしたが、パリ~ダカールラリーでは1984年(試作車)と1986年に総合優勝するなど、実力を見せつけていました。

ポルシェ911GT1(4代目993型ベース)

ル・マン24時間レースで圧倒的な強さを発揮すると思われたマクラーレン・F1に対抗するため、993型をベースに急遽開発したLM-GT1マシンが911GT1です。

開発期間短縮のため、規則で定められた試験項目などをスキップすべく初期型はともかくキャビンやフロントセクションに993型をそのまま使いましたが、いかにポルシェでもそこまで急ごしらえのマシンでは本気仕様のスーパーカーには勝てません。

結局、翌年以降のため本格開発した996型のフロントマスクになったGT1EvoやGT1’98までのつなぎとなりましたが、最終的にGT1’98で1998年のル・マンに勝利しています。

なお、スーパーカーベースではない純レーシングカーとしてのGT1マシン(日産R390やトヨタTS020などと同じ)としては珍しく市販されていますが、これは993顔の初期型GT1ではなく、996顔のGT1Evoで実現しました。

レースとラリーの王者、ポルシェによる数々の実績

ポルシェと言えば耐久レースの王者であり、GTレースの定番マシンであり、かつてはラリーでも圧倒的な王者でした。

それはポルシェ911でも変わらず、1973年から始まったWRC(世界ラリー選手権)でこそ、ワークスチームを送る機会がなかったので目立つ戦績はほとんどありませんが、それ以前はモンテカルロ・ラリーなど世界シリーズ化以前のビッグイベントで活躍。

1960年代、規則の関係でミニクーパーやアルピーヌA110が有利になる以前は、ポルシェ911こそラリーの王者という時期もあったのです。

ル・マン24時間レースや日本のJGTC / スーパーGTなどでも、派手なスーパーカーや本格レーシングカーのクラスに主役は奪われていたとはいえ、市販車ベースのクラスには911が必ずいました。

何しろ実績豊富、強力なレーシングベース車が販売されており、ヘタな市販車をフルチューンするよりよほど安定した実力を発揮できたわけですから、プライベーターにとっては非常にありがたいマシンだったのです。それが930型時代の934であったり、あるいは現在のGT3やGT2でもその伝統は受け継がれています。

もちろん、『量産レーシングカー』であるGT3やGT2を販売している以上、ワンメイクレースも世界各国で盛んであり、ヘタなスーパーカーよりよほどレースとサーキットが似合う車と言ってよいでしょう。

昔も今も、登竜門から世界の大舞台までサーキットで活躍できるスポーツカー、それがポルシェ911です。

次期モデル大予想

ポルシェ911の次期型は既に2018年10月4日に開催されるパリモーターショー(パリサロン)でのワールドプレミア(世界初公開)、2019年発売、開発コードは992型、水平対向6気筒ターボを基本にPHEVもあり、ということまで情報が広まっています。

さらには偽装も薄く開発も最終段階と見られるテストカーが何度も目撃されており、その全貌は半ば以上明らかになっていると言って良いでしょう。

基本的なデザインは現行の991型と酷似しており、これはポルシェ911という車の『キャラクター性』を考えた時、そして996型での明確な失策という前例から見ても、現在の技術でもっとも911らしい姿と言える991型から超キープコンセプトなのは疑いありません。

奇抜、あるいは斬新なデザインは、同社初のEVとなる『タイカン』(以前はミッションEと呼ばれていた)でやればいいことなのです。

911ターボ、あるいはターボSが備える可変リアスポイラーこそ有機的な曲線を描く大胆なデザインになりそうなものの、それ以外の点においては、そうそう変える必要は無さそうで、そのままさらにホイールベース延長&ロー&ワイドを突き詰めていきます。

ただし、996型から997型に変わった時とは逆に『デザインは似ているけど中身は全然別物』という事になりそうで、まずプラットフォームはポルシェ流の新設計アーキテクチャにより開発された、新モジュール形式のプラットフォームになるようです。

これはトヨタのTNGAやフォルクスワーゲングループのMQBと同じようなもので、ポルシェのみならずアウディやランボルギーニなど、フォルクスワーゲングループのスポーツカーやスーパーカーの基本となるプラットフォームになると見られています。

無論、ポルシェ以外の駆動レイアウトはRRではなくMR、ミッドシップにエンジンを積み、ポルシェでもボクスターやケイマンがミッドシップですから、モジュール化した部品を組み付ける際に、エンジン配置や搭載するパワーユニットもだいぶ融通が効くという事です。

その上でカレラ系は現在の3リッターターボの発展系で出力向上型になると思われますが、どうやらGT3もライバルへの対抗上、大排気量NAではなくターボ車になる説が有力。

ただしGT系に限っては想定するレースの規則にもよるので、まだ何とも言えません。

それより面白そうなのが『パフォーマンス・ブースティング・ファンクション』と呼ばれるモータードライブシステムを持ったPHEV(プラグインハイブリッドEV)で、PHEVの発売は決まり、しかもその内容たるや痛快なほどパワフルとのこと。

つまり、都市部などパワーを見せつける必要のないところでは無音でジェントルに、しかしひとたびアウトバーンに躍り出るや、モーターアシストで圧倒的な動力性能を見せつけるマシンになります。

一説には「911ターボは911PHEVに置き換えられる」という話すら出ているほどですが、さすがにそれは大げさというべきであり、世界中の911ファンが許しはしないでしょう。

あるいは、急激に電力を消費するため高速長距離巡航では電池切れの不安があるモーターアシストより、電動スーパーチャージャーでリニアな加速性能を見せつけるのかもしれません。

システム出力700馬力を超えるとも言われますが、その出力の方法は単なるモーターアシストか、電動スーパーチャージャーか、それともフロントをモーター駆動する電動4WD方式か?

そこまで考えると、911ターボにボディサイズ拡大分をリチウムイオン・バッテリーのスペースにあて、前輪にモーターを組み込んで駆動用プロペラシャフトをなくして軽量化するとともに良好な重量バランスが得られる電動4WDの911PHEV、2021年登場!と予測させていただきます。

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